バランス感覚を育む

京都・北野天満宮の神楽殿
戦後の大相撲を振り返ると、栃錦、若乃花の栃若時代、柏戸、大鵬の柏鵬時代など、その都度視網人気を盛り上げてきたライバル横綱。

かつてその一翼を担った大鵬さんは、ライバルという存在をこう語っています。
「私の時の柏戸さんのようにライバルとは一緒に切磋琢磨して地位を上げるもの」

ライバルとは単に勝敗を競う相手だけでなく、互いの成長を促す存在だというのです。

東西に分かれて並び立つ二人の横綱。それは大相撲にとって象徴的な意味をもっています。
大相撲では儀式の際、次のような祝詞が上げられます。

天地(あめつち)開け始まりてより 陰陽に分かれ
清く明らかなるもの 陽にして上にあり
これを勝ちと名付く
重く濁れるもの 陰にして下にあり
これを負けと名付く

宇宙が始まって以来、森羅万象すべては陰と陽に分かれ、この二つが対立し、また調和しながら自然の秩序が保たれるとする古代中国の陰陽思想に基づいた言葉です。

そのイメージを示したのが「大極図」。
例えば、天と地、明と暗、火と水、男性と女性、太陽と月。
陽があるから陰があり、陰があるから陽がある。
相反する存在でありながら、一方がなければもう片方の存在も成り立ちません。
対立しつつ互いを支え合いバランスを保つ世界。

相撲に限らずこうした調和とバランスは、様々な世界で大事にされてきました。
ところが今、このバランスが大きく崩れて混迷を深めている世界があります。

4年前、歴史的な政権交代が実現、長く続いた自民党一党支配にようやく別れを告げた日本の政治。
それは本格的な2大政党時代の幕明けを告げるものと受け止められました。
しかし、振り返ってみると2大政党制への流れが強まる中、国政選挙ではどちらか一方の政党が大差で圧勝するというケースがたびたび見られるとうになり、その都度、政治の姿も大きく揺れてきました。

対照的な2つの価値観が力強くぶつかり合い切磋琢磨して互いの政治感を高めながら理想の社会を目指す。
そうしたバランスを保つ躍動感が見られない今の世の中。

ライバル不在、無極化、全員参加型。

バランス感覚は外部にだけ求めるのではなく私たち内部のバランス感覚も育む必要があるのです。